〈遺言〉遺言書の種類

今回は遺言書の種類について解説していきます。

◇遺言書の種類

〈普通方式〉一般的な遺言書には下記の3種類があります。
  1. 自筆証遺言・・・遺言者本人が本文・日付・氏名を自書し押印する。
  2. 公正証書遺言・・・遺言者本人と証人2人立会いの下公証役場にて作成する。
  3. 秘密証書遺言・・・遺言書作成後、封筒に入れ内容を秘密にしたまま、存在だけを公証役場で証明してもらい証人2人立会い作成する。

※自筆証書遺言には、令和2年よりスタートした法務局保管制度を利用したケースもあります。

自筆証書遺言自筆証書遺言
(法務局保管制度を利用)
公正証書遺言秘密証書遺言
作成方法遺言者本人が本文・日付・氏名を自書し押印する
※財産目録はパソコンでの作成も可能
遺言者本人が本文・日付・氏名を自書し、押印する
※財産目録はパソコンでの作成も可能
遺言者本人が証人2人の立ち合いの下で作成する遺言者本人が遺言書作成後、封筒に入れ公証役場で手続きする
筆者本人(本文は手書き)本人(本文は手書き)公証人本人(本文ワープロ可能、ただし自書押印)
証人不要不要2人2人
検認必要不要不要必要
メリット・内容を秘密にできる
・作成が容易
・コストがかからない
・紛失/破棄等保管上の危険がない
・遺言書の外形的な確認をしてもらえる
・検認が不要
・紛失/破棄等保管上の危険がない
・要件不備で無効な遺言となるリスクがほとんどない
・検認が不要
・内容を秘密にできる
・遺言書の存在を明らかにできる
留意点・紛失/破棄等保管上危険がある
・要件不備による紛争が起こりやすい
・検認が必要
・若干のコストがかかる
・内容の有効性までは担保されない
・運用開始は令和2年7月10日
・コストがかかる
・変更や書き直しに手間がかかる
・紛失/破棄等保管上危険がある
・要件不備による紛争が起こりやすい
・検認が必要
  • 証人…公証役場にて公正証書として遺言書を作成する場合(公正証書遺言・秘密証書遺言)においては、作成の場に2名の立会い人が必要になります。
  • 検認…遺言書(法務局保管制度を利用しない場合の自筆証書遺言・秘密証書遺言)の開封には家庭裁判所による検認の手続きが必要です。家庭裁判所にて相続人の立会いの下で、遺言書を開封し内容を確認するものです。

※秘密証書遺言は、自筆証書遺言や公正証書遺言と比べて利用が極端に少なくなっています。理由はあえて秘密証書遺言で作成するメリットがほとんどないためかと考えます。

当事務所では、[自筆証書遺言]及び[公正証書遺言]の作成サポートを行っております。

◇自筆証書遺言

作成方法

  1. 遺言書原案(内容)を検討する。
  2. 遺言者本人が本文、日付、氏名を自書し押印する。(財産目録はパソコンでの作成OK)
  3. 自宅等で保管

メリット

  • 紙とペンさえあれば作成できるため、手軽に作成することができます。書き直す場合でも容易に作成し直すことができます。
  • コストがかからない
  • 遺言内容が作成者にしか分からないため秘密にしておくことができる

留意点

  • 紛失/破棄等保管上危険がある

自宅等、作成者が保管しておく必要があるため紛失等の心配がある。

  • 要件不備により無効となる場合がある

自筆、訂正の方法等、要件を満たしていない場合せっかく作成しても無効になってしまう場合がある。

  • 死後に相続人に見つけてもらえない場合がある

保管場所を伝えていない場合等は、遺言書自体を発見されないという事態になってしまいかねません。

自筆証書遺言書保管制度

令和2年よりスタートした本制度では、これまでの自筆証書遺言の留意点をカバーすることで使い勝手が良くなりました。

  • 作成した遺言書は、法務局にて原本に加えて、画像データとしても管理保管されます。

作成者が保管することは不要となり、紛失等の恐れがありません。

  • 相続開始後の「検認」が不要になります。

裁判所にて遺言書の検認手続きが不要になるため、スムーズに遺言執行手続きへと進むことができます。

  • 相続開始後に相続人へ通知が届きます。

法務局にて死亡の事実が確認できた場合、保管申請時に指定した方へ「遺言書が保管されている旨」のお知らせが届きます。

そのため、遺言書が発見されなかったということが起きにくくなりました。

また相続人等の方々は相続開始後、遺言書の閲覧をしたり、遺言書情報証明書の交付を受けることができます。この場合、その他の相続人全員に対して「遺言書が保管されている旨」のお知らせが届きます。

作成方法

  1. 遺言書原案(内容)を検討
  2. 遺言者本人が本文、日付、氏名を自書し押印(財産目録はパソコンでの作成OK)
  3. 遺言書保管所に保管申請
  4. 手続き終了後、保管証を受領

※[遺言書保管所]・・・管轄の法務局のこと。

  • 遺言者の住所地を管轄する遺言書保管所
  • 遺言者の本籍地を管轄する遺言書保管所
  • 遺言者の所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所

上記のいずれかに保管の申請をします。

[保管証]・・・遺言者の氏名・出生の年月日・遺言書保管所の名称・保管番号が記載された書類。

保管番号は、遺言書を特定するための重要な番号です。

保管申請手数料

遺言書1通につき 3,900円

◇公正証書遺言

作成方法

  1. 遺言者と相続人の続柄が分かる戸籍謄本等の収集
  2. 遺言書に記載する財産の証明書類(預貯金等の通帳のコピー・不動産の登記事項証明書等)
  3. 印鑑登録証明書等の本人確認書類の準備
  4. 遺言書原案(内容)を検討
  5. メールや公証役場にて公証人の方と打合せを行い、案を修正、確定
  6. 作成日に公証役場にて、証人2人の立ち合いの下作成
  7. 「原本」は公証役場にて保管され、「正本」と「謄本」を受領

◇当事務所では上記緑下線部分を含む「公正証書遺言」の作成サポート、「自筆証書遺言・法務局保管制度」を利用する遺言書の作成、保管申請手続きのサポートを行っております。

費用

公証人手数料

遺言する財産の価額手数料
100万円以下5,000円
100万円を超え200万円以下7,000円
200万円を超え500万円以下11,000円
1000万円を超え3000万円以下17,000円
3000万円を超え5000万円以下23,000円
5000万円を超え1億円以下29,000円
1億円を超え3億円以下43,000円+5,000万円ごとに13,000円加算
3億円を超え10億円以下95,000円+5,000万円ごとに11,000円加算
10億円超249,000円+5,000万円ごとに8,000円加算
  • 手数料は相続人あるいは受遺者ごとに計算します。
  • 1通の遺言における目的価額の合計額が1億円までの場合は、11,000円を加算します。
  • 祭祀の主宰者に指定する、相続人から廃除するなど法律上の意思表示がされた場合、目的価格が算定できないので一つの意思表示ごとに11,000円加算します。
  • 遺言者が病気などで公証役場に出向くことができない場合は公証人が出張して作成することがありますが、その際は病床加算として基本手数料の5割増となります。この他に、旅費(実費)、日当(1日2万円、4時間まで1万円)が加算します 。
  • その他用紙代、謄本代が数千円別途必要です。

当事務所の遺言書作成サポート

当事務所では〈自筆証書遺言・法務局保管制度〉を利用した作成サポートおよび〈公正証書遺言〉作成サポートを行っております。

サービス内容

〈自筆証書遺言、公正証書遺言 共通〉

  1. 戸籍謄本等の収集(推定相続人調査)
  2. 不動産登記簿謄本等の収集、保有財産の調査
  3. 遺言書の原案作成

〈自筆証書遺言〉

  • 法務局保管申請サポート

〈公正証書遺言〉

  • 公証役場との事前調整等、打合せ
  • 証人2人の手配

サポート料金

自筆証書遺言作成(法務局保管申請サポート含む)

121,000円(税込)~

公正証書遺言作成

154,000円(税込)~

※どちらも、行政手数料や郵送費等の実費が別途必要になる場合があります。

※公正証書遺言の場合、上記料金に公証人手数料が別途必要になります。

※証人2人の立会い料が含まれております。

まとめ

今回は遺言書の種類について解説しました。

当事務所としては、「公正証書遺言」・「法務局保管制度を利用した自筆証書遺言」の作成をお勧めします。

  • 紛失/破棄等保管上の心配がない
  • 検認が不要
  • 相続人に遺言書を見つけてもらえる

上記の点がポイントになります。

それぞれメリットや留意点を考慮して遺言書の作成方法(種類)を検討すると良いでしょう。

最後まで閲覧いただきまして、ありがとうございました。